むち打ち

むち打ち(ムチ打ち)とは?

むち打ち(ムチ打ち)とは?

むち打ち症は、外傷性頸部症候群とも呼ばれています。首が間接的な衝撃を受けたときに、 むちのようにしなる動きをすることによって引き起こされるさまざまな症状の総称です。
頚椎とよばれる首の骨が強い衝撃を受けると、骨折や損傷を防ぐために軟骨(椎間板)や 靭帯、筋肉など頚椎をとりまく組織が衝撃のエネルギーを吸収します。
そのため、 これらの組織が傷ついて、首や肩の痛みなどが現れます。
受けた衝撃が大きいと、頸部を走る血管や神経までダメージを受ける場合があります。
頸部の神経は首や背中を通って全身に枝分かれしていくため、からだの様々な機能に 支障をきたすことになります。

むち打ち病の主な原因

むち打ち病の主な原因

むち打ち症は器械体操や球技などの際、頭に重い物が落ちたときの衝撃で起こることもあります。
しかし、最も多い原因は自動車の追突によるものです。停車中に後ろから追突されると、車体が前に飛び出します。
その際、身体もシートとともに 前方へ移動しようとしますが頭部だけはその場に残ろうとします。そしてあとから身体の動きについていきます。
結果的に、衝撃時には首が後ろに引き伸ばされ(過度の伸展)、次の瞬間には反動で頭部が前に倒れ、首が前方に強く曲がります(過度の屈曲)。首がこのような一連の動きをするのは、首の骨が一本の骨だけではなく、7個の骨が積み木のように重なってできているためです。
一つ一つの骨の間の椎間軟骨は、上下の骨同士がぶつからないようにクッションの役目も果たしています。
首の骨の管・中央には脊柱管という管が通っていて、脳から下方に伸びる神経の束・脊髄があります。
脊髄から枝分かれした神経は、椎骨と椎骨の間から出て骨や腕に伸び、 その領域の筋肉の運動や感覚を支配しています。
また、椎骨がずれたり外れたりしないように、線維でできた靭帯が椎骨を上から下までつなぎとめています。
さらに、周囲の筋肉で補強されています。筋肉は、筋線維が集まってできていますので、首が急激に後ろに引っ張られると、このすじが切れたり、傷ついたりして内出血を起こします。ひどい場合には、靭帯が伸びたり、切れてしまうこともあります。

病院での検査について

病院での検査について

病院での検査では、受傷した日時や状況、痛みの出ている部位や痛みの程度、ほかに現れている症状などについて質問されます。
問診に続いて触診が行われ、首を回したり、曲げたり、伸ばしたりしたときや、頭を上から押さえられた ときに痛みが強まったり、胸に痛みが広がるかどうかを調べます。神経の障害を知るために、神経テストも行われます。腕や指の曲げ伸ばしがスムーズに行えるか、 腕に触れられたときに知覚異常が生じるか、といった点が観察され、ハンマーで手首や肘をたたいた ときの反射の現れ方なども調べます。
骨折の有無や骨のずれを確認するためにX線撮影検査も行われますが、頚椎捻挫型では 異常がみられません。そこで本人の訴えから重傷度を判定します。受傷から1~2日後に首に軽い運動障害などが現れた場合には軽症。
受傷の直後から、首がほとんど動かせないくらいに激しく痛み、日常生活に支障をきたしている場合には重症と診断されます。
また、軽症と重症の中間程度であれば、中等に分類されます。
首の神経が損傷されている可能性がある場合には、CT検査やMRI検査が行われ、ときには入院後に 脊髄造影検査や椎間板造影検査が行われます。これらは、局所麻酔をして脊髄に造影剤を注入し、 X線撮影を行う検査です。
動きに伴う頚椎の、より詳しい情報が得られる点が特徴です。
検査時間は15分程度ですが、造影剤の副作用を防ぐために、半日ほど安静にしている必要があります。

むち打ち症の症状と分類

むち打ち症の症状と分類

頚椎捻挫型

首の筋肉や靭帯などが損傷され、首、肩、背中の痛みや運動制限が起きる症状です。

神経根症状型

頚椎から出る神経が圧迫されることにより、首の痛みや頭痛、腕のしびれやだるさ、筋力低下するなどの症状です。

バレ・リュウ症候群型

後部交感神経の損傷や圧迫によって頭にいく血流が低下することで、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、眼の疲労・・・ などが起こる症状です。
※後から症状が出てくることもあるので、まずは診断を受けることをおすすめします。